トヨタ自動車の「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という発言が記憶に新しいように、日本における労働市場の終身雇用は見直しの時期に差し掛かっている。
トヨタをはじめ、富士通、東芝、パイオニア、コカコーラ、アステラス製薬、ファミリーマート、味の素など、大手企業でも早期退職希望者募集のニュースは後を絶たない。
そこで、この記事では早期退職者募集の実情と早期退職希望者の募集があった際に取るべき行動を紹介。
また、取るべき行動の1つとして転職という選択肢と共に転職エージェントサービスを紹介するが、紹介する転職サービスは、主に40代以上の人を対象としている。
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早期退職者募集の実施状況
まずは、早期退職者募集をしている企業の実施状況を見ていこう。
東京商工リサーチの調査結果を基に上場企業の実施状況を主に記載している。
2019年中(1-11月末)に早期退職希望者を募集した上場企業は36社、対象人数は1万1,351人となっている。
対象企業数、対象人数ともに過去20年間で最多数を更新した。
2018年の実施状況は企業数が12社、人数は4,126人となっているので、約3倍増という結果である。
業種別での実施状況では東芝、富士通など(グループ、子会社含む)の影響を受け、電気機器が12社と最も多い。
続くのは、製薬業界が4社となっており、薬価改定や国外メーカーのライセンス販売終了などの影響を反映した結果となっている。
残す業界は卸売、機械、食料品、繊維製品が各3社となる。
また、直近では業績不振で早期退職者を募集する企業に加え、業績堅調かつ業界大手の立場の企業でも将来の市場環境を見据え、先行した退職者募集を実施する企業が多くなっている傾向がある。(アステラス製薬、中外製薬、カシオ、キリンホールディングスなど)
※参照:『会社情報に関する適時開示資料』(2019年11月29日公表分まで)
2019年に発表した早期退職希望者募集の企業と対象人数
()は実施予定の期日を記載
2020年以降の実施状況を考察
2020年以降は、味の素、ダイドー、LIXILグループ、ファミリーマート、ノーリツ、などといった7社の企業が早期退職希望募集の実施予定を表明している。
その対象人数は約1,500人にも及ぶ。
食料品や消費材、小売業といった堅調な業績の企業でも、市場成熟化に伴う先行きを懸念したうえでの決定とみられる。
早期退職希望者を募集することにより、既存事業の見直しやマーケティング担当といった人材不足の確保に注力することと推測される。
大手企業を中心に定年制度の見直しが進む中、働き方改革の実施等に伴い対象年齢を引き下げて退職者を募集するなど雇用の流動化の動きをとっている企業もみられる。
このような動きを受けると、2020年以降も早期退職者募集をする企業は大手企業に留まらず、中小企業や零細企業でも増えていくであろう。
早期退職希望と希望退職制度の違い
早期希望退職と希望退職は類似した言葉であるため、意味を混同している人も多い。
そこで、それぞれの違いを解説する。
希望退職制度
希望退職制度は、企業が従業員の主体的な退職を募る仕組みのことを指す。
主に人員整理が目的に行なわれ、リストラの前段階と捉えると理解がしやすい。
従業員の意思が優先となるため、退職制度に関して法的な拘束力はなく、企業側から退職を強制することはできない。
ただ、希望退職に伴う退職の場合は、原則として自己都合ではなく会社都合での退職が成立することとなるため、失業給付金をすぐに受け取ることが可能であったり、転職の際の経歴書にも会社都合と記載することが可能になる。
なお、希望退職は希望すれば企業側が100%受理してくれる保証はなく、能力の高い従業員や専門的なスキルをもつ従業員は企業側から残留の引き止めにあうこともある。
希望退職の成立には「双方の合意」が求められるため、企業側が引き止めをすることに関しても認められているということ。
双方の合意がなされないまま退職した場合は、会社都合ではなく自己都合の退職となるため、前述した給付金の受け取りや経歴書への記載はできないため注意。
早期退職制度
早期退職制度は、セカンドキャリアを推進することや組織編成を目的として行なわれる仕組みのことを指す。
希望退職制度との違いは、企業側の目的が人員整理であるかどうかという点にある。
前述したとおり、早期退職制度は組織の人員構成を整えたり、従業員の労働の選択肢を広げたりすることを目的としている。
そのため、早期退職制度の利用者に対しては退職金を割り増すといった優遇措置が取られることも多い。
期限が決まっている希望退職制度と違い、いつでも、誰でも利用することができるのが早期退職制度の大きな特徴である。
希望退職をするメリットとデメリット
希望退職をすることのメリットとデメリットを紹介する。
希望退職をする4つのメリット
希望退職をするメリットは大きく分けると下記4つとなる。
メリット1.退職金を多く受け取れる
希望退職制度を利用する場合、多くの企業で割り増しの退職金を提示してもらうことが一般的。
そのため、通常の退職や自己都合による退職に比べて多く退職金を受け取ることができる。
退職金を多く受け取れることで当面の生活費を心配することなく、転職活動をすることも可能となる。
メリット2.すぐに失業給付金(失業手当)を受け取れる
希望退職の場合は会社都合での退職となり、自己都合の場合に比べて2ヶ月以上も早く、給付金の支給を受けることができる。
給付金受給にあたっては、職業紹介所への手続きが必要となる。
メリット3.失業給付金を受け取れる期間が長い
メリットの3つ目で紹介した失業給付金を最長で2倍以上の期間にわたって失業給付金を受け取ることができる。
中高年での転職活動は長期化することもあるため、給付期間が長いことは大きなメリットとなる。
メリット4.離職理由が説明しやすい
業績悪化が要因による希望退職の場合では「自分の意志で退職した」という説明をすることができるため、リストラなどに比べ離職した理由を企業に対して説明しやすい。
そのため、希望退職が理由で転職活動において不利になることはない。
希望退職をする4つのデメリット
希望退職をするデメリットもメリットと同じく、大きく分けると下記4つである。
デメリット1.安定した収入が得られなくなる
転職や企業をする場合でも一時的に収入が得られなくなる。
日々の生活費(家賃、ローン含む)や保険料が負担となり、割り増しされた退職金があったとしても、一時的であるとしても安定した収入がない状態があるということはデメリットである。
また、転職先が決まらない可能性も考慮しておく必要がある。
景気の変化・市場の変化などの理由から、想定している期間よりも転職活動が長期化することも考えられるため、退職をする場合には市場の変化について調べておくべきである。
デメリット2.年金支給額が減る
年金支給額は、年金をもらい始めるまでの平均給料と保険加入月数によって決定する。
そのため、離職期間分は年金の総支給額から減額されることとなる。
ただし、それを見越しての割り増しした退職金の支給となるため、文句をいうことはできない。
デメリット3.引越しが必要となる場合がある
社宅住まいの場合には、退職と同時に引越しをすることが余儀なくされる。
引越しに伴う引越し代(敷金・礼金・運搬代)は、企業側が負担してくれる場合もあるが、退職者自身の負担となるのが一般的。
デメリット4.ローンを組みにくい
退職をした後の無職期間には、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの審査などが通過しない可能性が極めて高くなる。
高額の支払いや審査が必要な手続きを予定している場合には、在職中に済ませておくべきである。
早期退職する前に押さえておくべき5つのチェックリスト
メリットとデメリットを理解した上で早期退職を検討している人のために、押さえておくべき5つのチェックリスト用意した。
早期退職を決断するのであれば、5つすべてのチェックリストを満たしている状態が望ましい。
- 生活を送れるだけの貯金はあるか
- 家族に説明し納得は得られているか
- 住宅ローンは十分に支払える状況か
- 年金受給額と支給開始日を確認したか
- 退職後の動き方は定まっているか
必要な貯金額は生活状況や支出状況によって異なるが、総務省の「家計調査」によると、2人以上の勤労者世帯の消費支出は1ヵ月平均313,057円となる。
早期退職の募集時の3つの選択肢
早期退職の募集時の選択肢としては主に下記3つである。
- 今の会社に残る
- 独立をする
- 転職をする
ここからは、それぞれの選択をした場合のリスクについて記載していく。
選択肢1.今の会社に残る
今の会社に残るという選択は、特段準備していなかった人にとっては、比較的選択肢やすい選択肢といえるだろう。
そこで、まずは早期退職の募集の流れについて説明する必要がある。
一般的には、早期退職の募集が開始すると、企業との個別の面談が実施されるケースが多い。
面談には2つのケースがあり、
2.早期退職の制度を活用するように打診するための面談
1つ目の面談であれば、会社に残るという選択肢を取ることも問題ないといえるが、2つ目の面談であった場合には、企業側から必要とされていない人材と捉えるのが正しいといえるだろう。
そのため、2つ目の面談だった場合には、今の会社に残ることはリスクになってしまうことがある。
具体的には、企業側が退職を推奨しているため、残ったとしてもその組織内でのキャリアパスが望めない(年収の頭打ち、役職につけないなど)ことである。
そして、その状態で働き続けることは、精神安定上も望ましくない場合が多い。
また、いずれ解雇などの理由で退職を余儀なくされた場合に、早期退職として提示された退職金よりも提示される退職金が下がることもリスクと捉えることができる。
選択肢2.独立をする
最後の選択肢としては、独立という選択である。
早期退職の募集が開始される前々から独立・企業の準備をしていた人にとっては、早期退職制度は好機であると捉えることができる。
そのため、十分な準備がされている場合の独立であれば特段リスクはないともいえる。
リスクを多く孕んでいるケースとしては、十分な準備をしないまま独立という選択を取る場合である。
「そんなこと当たり前だろ」と思われるかもしれないが、突発的な募集に気が動転してしまい、正しい選択ができずに失敗している事例も多発していることも事実であるため、リスクの1つとして記載させていただいた。
選択肢3.転職をする
次に、早期退職を受け入れ、転職をするという選択肢についてのリスクについて解説する。
40代以降で転職をする場合、自身の転職市場における価値を把握していないことも往々にして考えられる。
そのようなケースでは、そもそも転職先が見つからないというリスクが存在する。
また、転職先を見つけるための転職活動に時間を割くことができない、経歴書の書き方が分からないという声も多数である。
終身雇用が一般的であった時代に就職している世代でもあるため、40代以降になって初めて転職をする人が多いことも要因といえるだろう。
早期退職制度で転職する際の注意点
早期退職制度を利用後として、転職をするという選択肢を紹介したが、40代以降の転職において注意するべきことを解説する。
転職先の条件を高望みしない
早期退職制度の対象となる40〜50代の転職市場は、二極化されている。
早期退職を選択する人の多くは、今の職場よりも年収を落として再就職するために転職活動をする人が多い傾向にある。
そのため、条件に高望みするのではなく、年収が落ちることを前提として転職先を探すべき。
転職活動では40代以上向けの転職エージェントを使う
転職エージェントによってターゲット層やサポートを得意としている業界は異なる。
そのため、40代以上向けの転職エージェントを使わないと求人を紹介してもらえないなどということにもなりかねない。
下記に40代以上も対象としているサイトを紹介する。
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ここで紹介している転職エージェントは所要時間1分程で登録可能。
なお、転職を成功している人は平均で4.2社の転職エージェントに登録してることから、転職エージェントは複数登録しておくこと方が一般的である。
補足.転職エージェントを使わない転職活動
40以上で転職する場合には、転職エージェントを使うことが推奨だが、どうしても使いたくないという人もいるであろう。
そこで、転職エージェントを使わずに転職活動をする方法も補足として解説しておこう。
転職エージェントを使わずに転職活動をする方法は主に3つ。
- 求人サイトを利用する
- ハローワークなどの職業紹介所を利用する
- 知人に紹介してもらう
求人サイトを利用する
求人サイトとは、自分で公開求人を検索することができるサイトのことを指す。
担当のコンサルタント(キャリアアドバイザー)が付く転職エージェントサービスとは別のものである。
代表的なサービスとしては、リクナビNEXTやtypeなどがあります。
dodaは、転職エージェントサービスも行なっているが、求人サイトとしての機能も兼ね備えているサイト。
また、最近では企業からのスカウトを待っているだけで転職活動ができるキャリトレというサービスや自分の市場価値を診断することができるミイダスというサービスも注目を集めている。
求人サイトの場合、登録情報を偽らない限り、登録を拒否されることはないため、40代以降でも問題ない。
転職エージェントに頼らずに自分一人で転職活動するという選択もあり。
ただ、転職活動は孤独で不安なことも多く、面接の日程調整や条件交渉などを在職中に行なうことは非常にハードであるため、まずは転職エージェントの利用を検討するほうが効率的で賢い転職活動といえる。
ハローワークなどの職業紹介所を利用する
ご存知の人も多いはずなので詳細の説明は割愛するが、転職エージェントを活用せずに転職活動をするにはハローワークを利用する手段もある。
ただ、求人紹介のプロではないので、募集されている求人の詳細の情報(労働条件や職場の雰囲気など)を教えてもらうことはできない。
また、求人情報に記載されている労働条件と実際の労働条件が異なっていた事例というのも多数あり、転職後にトラブルになっていることも報告されているので、あまり利用はおすすめできない。
知人に紹介してもらう
こちらも、転職エージェントを利用しない転職活動の1つではあるが、わざわざ紹介することではないと思いますので割愛する。
ただ、1つだけ注意点をお伝えしておくと、知人の紹介で転職する場合でも、十分に転職先の労働条件や職場の雰囲気は自分の目と耳で確認しておくように。
万が一、転職先とミスマッチのある状態で転職してしまった場合、転職先との関係だけでなく、紹介してくれた知人との関係や知人と職場との関係の悪化に繋がってしまうことがあるためである。
早期退職に関する総括
早期退職に関する解説は以上となるが、記事内で伝えた内容を総括として残しておく。